結婚・離婚・脱婚

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LGBTタレント、一ノ瀬文香の離婚。吉本のタレントである彼女は松本人志が司会を務める番組に出演してたようなのですが、同じようにレズビアンタレントとして活動する、牧村朝子も「脱婚」と主張しつつ、フランスの婚姻関係を解消し、別居を選択をする事実上の「離婚」をしたわけだし、これで一番長続きしたのはLGBT活動家に否定的な人から「ビジネス婚」と揶揄される東小雪・増原裕子夫婦というのは実に含蓄がある結果だと思います。

というのも、「アニメージュ」という雑誌で人生相談の企画をもっていた富野由悠季*1から独身貴族の相談者から「30を過ぎても独身はおかしいのですか?」という相談が寄せられて、監督は「結婚は愛の末にするわけじゃなく生きるためにするのだ」と看破したことがありました。

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(富野監督の指摘はこのブログを訪れた全ての人が一読すべき)

「生きるための結婚」というのであれば、東夫妻というのは「生きるために」結婚をしているわけで、そりゃ長続きするのも道理だよなと思ってしまうわけです。

同性婚憲法の矛盾

さて、同性婚について木村草太は幸福追求権から実現しなければならないと主張しています。仮にそうだとしたら憲法24条でははっきりと「同性」とあり素直によめば憲法の矛盾と言うべき状況であり、同性婚が幸福追求権を求めるために必要とすれば早急な改正が必要なはずです。

しかし、木村氏は「同性婚について実質的に何も言ってないから憲法24条はクリアされる」と主張されていますが、想定されてないから推し進めても良いと言うのであれば、法の抜け穴で違法スレスレの経済活動を行う企業を批判する資格は無くなります。江川卓氏も小林繁氏とトレードで巨人に入れることをせずにストレートに巨人に入団させなければならならなくなります。*2

もちろん同性婚を行うことが、同性愛者の人権確保に対して「緊急性・公共性・非代替性」があり、かつ憲法改正がままならないというのであれば憲法解釈の変更が成されるでしょう。

しかし、それは木村氏が散々集団的自衛権で批判した解釈改憲になりません。さらに氏はあえて触れていないようですし、若い活動家も同性婚が成立しないと悲惨な未来になると信じ込んでいる方も居るようですが、古くよりより養子縁組が容易な日本においては、吉屋信子を始め、多くの同性カップルが養子縁組を行っており、そこまでの緊急性を求めることが難しい状勢と言えなくもありません。

「生きるために結婚」をするカップルにとってはいつなるかわからない同性婚よりも一刻も早い法的な関係の認証が必要なわけで、それが仮に不本意な形であっても利用するカップルは数多いわけです。

しかし、現在の法解釈では一度養子縁組をすると例え離縁しても結婚は出来ない以上、同性婚にもそれが適用される可能性があり、そのような養子縁組をする場合担当者からそのような説明をされるケースがあるようですが、彼ら・彼女らの対策を議論しない同性婚というのは欺瞞そのものだと思うのですが、議論をされている様子がありません。

脱婚の意味とは

話を牧村氏に戻しますが、彼女はLGBT人権活動に批判的な人でも割と評判が良い方なのですが、「脱婚」と後述する「独立」の話を聞いて一気に幻滅しました。

彼女のブログより脱婚をした理由について引用します。

独立、脱婚、お引越しのごあいさつ【追記あり※別れてないし、いわゆる離婚でもないよ!】 | ゆりくれ** | タレント・文筆家 牧村朝子(まきむぅ)オフィシャルサイト

・・・フランスの結婚制度の利用も、一度止めることにしました。パートナーである彼女を深く愛しています。
だからこそ、結婚制度というものから一度離れようという、彼女の意思を尊重することに決めたのです。
・・“家”とか“戸籍”みたいなものから離れ、
ただ、愛する人と、あらためて、個と個の関係を築いていこう、という気持ちでいるのです。

円満なものかもしれないけど、どう取り繕っても法定婚を解消した時点で「離婚」であることには変わりませんよね。第一、フランスには戸籍という家族単位で国民を管理する制度は存在しません。最初から存在しない「戸籍から離れ」ってどういうことなんざんしょ。

さらに話は独立の話に及びます。彼女はおよそ1年半前に評論誌の「拝啓 LGBTという概念さんへ」というエッセイで「LGBTさんさようなら」と結びLGBTへの決別宣言をしています。それから1年半。独立した彼女はINIZONという会社と業務提携を発表しましたが、その会社が何をやってるのかと調べたら会社案内にデカデカと虹色の旗が掲げてあって

「こころ動く創造を for LGBTs」

どっぷりLGBT浸かってるやんけ!

そもそも独立まではあるとしても、芸能界は本人の実力×運×バックのケツモチという世界でどれかが0なら世に出られないような世界なんで、普通は業務提携と言えば元いた会社がその実質的な親会社とするのが一般的なのですが、LGBTで飯を食う会社と業務提携してるって元の会社*3と揉めたようにしか思えてなりません。

そもそも芸能界の契約のブラックさを「私がされたことじゃない」とエクスキューズして一般論化してるのですが本当は自分がされてたんじゃないですか?

結局「ありのままに」というお題目とは裏腹に彼女ですら世間体に雁字搦めに生きていかざるを得えず、「LGBTさんさよなら」といいつつLGBTに縋らないと飯を食えないというのは、なんとも皮肉な物だなと思います。

*1:(書くまでもない気がするが)アニメーション監督・『機動戦士ガンダム』シリーズ原作者

*2:江川事件。当時移動日として確保するために前年のドラフト指名選手プロ野球の球団との交渉権が、ドラフト前日には無効になっていたことに目を付けて巨人軍が江川卓と契約をした事件。

*3:あるいはそのケツモチ