出光シェル買収と石油見直し

石油会社は石油だけでは立ちゆかないとかなり前から言われているのだけど、脱石油で比較的手っ取り早いのは天然ガス。なんせ気化施設は余ってる製油所を転用できるしそこには大抵火力発電所があるから安定した販路がある。

というわけで、JXやコスモや東燃が電力会社やガス会社と共同で気化基地を運営していたりするけど、出光とシェルは大手元売りの中では天然ガスへの取り組みが比較的遅れてる感があるので、割と納得する組み合わせではある。

しかし、日経新聞が書いていた「再編は最終章」ってのは割と疑問。今後はガスも電気も完全に自由化するので例えば石油会社・ガス会社・電力会社(の火力部門)という組み合わせが、それも新規事業者じゃ無く例えばJX・東京ガス・関電という大手同士の組み合わせも充分あり得るので、これは再編の始まりだと思う。

ただ、石油会社の再編というのは震災前から続く国主導の縮小均衡策という要素が強いわけだけど、国の方針は「原発は出来るだけ減らしたい」というもので有るなら石油の役割は「ポスト原発」を考えるに当たって見直して行かざるを得ないし、ライフラインとして位置づけと言うことを考えても縮小均衡はもはや限界に来ているとは思う。

身も蓋もない言い方をすれば「どう石油を使って貰うか」を考えて貰う必要があるとも言えるのだけど、そもそもいくら石油会社が「震災で証明された有事に強い石油」「備蓄しやい石油」と石油のメリットを訴えても、とりつく島も無い上に、産油国と投機家の思惑で幾らでも値段が乱高下するありさまではもはや原子力以下の信頼性と言わざるを得ず、いくら高効率化した技術を開発しても一筋縄には行かないだろう。