最近気になる兆候を見せるきららの危機?

 もともと、きららのような雑誌は単行本の売上で黒字を出すビジネスモデルなだけに単行本の売上げの高低で打ち切りが決まり、またそれがシビアな傾向があったのだが、最近気になる傾向がある。

相次ぐ中堅作品の連載終了

 きららフォワードの『なでしこドレミソラ』を始め、『どうして私が美術科に!?』などきらら編集部から期待されていたと思しき中堅作品が昨年から相次いで終了している。それに加えフォワードはゆるキャン△芳文社が立ち上げる電子書籍サイトCOMIC FUZに移籍するなど「本当にフォワード自体が大丈夫なのか?」と心配したくなるような事態である。

作り手はアニメにならない作品は要らない!?

 打ち切りの傾向を見ていると、「アニメになれない作品は要らない」 という方針になっているような感がある。個人的な憶測や妄想の域なのだが、単行本の売上げプラスアニメの企画書をもって営業回りを行ってその結果が芳しくないと終了させるような方針になってるような感がある。まあ、10~15年前ならアニメにならない程度の企画でもアニメになる(せざる)を得ないアニメ業界の事情もあるのかもしれないが。

 もともと「内容はほのぼのだけど、競争はシビア」な雑誌ではあるが、アニメにならないようでドラマCD程度のメディアミックスが精一杯の中堅どころの作品(と行ったら失礼だけど)の居場所が無くなって、純然たるメディアミックスの為の雑誌になってるように思える。

 萌え4コマファンには周知の事実であるがそのそも2017年には末っ子的な存在の『まんがタイムきららミラク』が廃刊になっており、芳文社もきらら系雑誌の整理縮小傾向が進んでいるが、もともと、4コマ雑誌の高齢化が深刻になり「アニメファンに4コマを届けたい」というコンセプトで始まった雑誌であるが、考えれば最近の話題の中心はソーシャルゲームに移っているのも事実で、仮にオタク層が増えているという状況でも無い限り、可処分所得と可処分時間の奪い合いであるのは明らかである。

受け手はソシャゲがあれば何も要らない!?

 問題はそのソーシャルゲームがどんどん進化していって、今ではフルボイスでLive2Dで動き、プレイヤーとキャラクターのみならず、キャラクター同士の関係性を描くのがもはや当たり前になっているということである。女性キャラクター同士の関係性を描くというきららの魅力に「上位互換」の存在として現れてきているのである。しかも、ゲームは集団作業であるので投入する速度が速く、キャラクターも豊富で無限に話題を作れると言うことなのだ。

 この影響はラブライブ!や艦これにも現れていて、近年明らかにライブコンテンツに展開が偏っている感があるが、2013年とアニメファン向けソーシャルゲームの初期に出された作品が明らかに時代に合わない物になったのに、出せる武器がライブコンテンツしか無いという実情もあるのだろう。ラブライブ!に関しては運営はこの状況を百も承知のようで、スクスタという新作を出す…のだが数年単位で遅れているのが実態である。 

さらなる刺客ときららの対抗措置

 さらに一昨年末頃からあらたな資格が出てきた。それがVtuberである。彼女たちの出現当初から、「終わらない日常系」と評する向きもあったのであるが、例えばにじさんじの「オタクの学級委員」などのようなキャラクター造形ははきららに出ていてもおかしくないキャラクター造形であるし、そもそもソーシャルゲームもそうなのであるがガッツリと嵌まってしまうと割と時間を消費してしまうコンテンツであり、可処分所得と可処分時間の奪い合いという点では内容がではなく情報量がというプアーなコンテンツである4コマはどうしても不利になってしまう。

 話をきららに戻すが、もちろんこのような状態を芳文社をくわえてみている状況では無く、『きららファンタジア』というソーシャルゲームをリリースしているが、問題は常にソーシャルゲームには話題性が必要とされてると言うことである。

 一番手っ取り早い話題作りと言えば、ある作品をアニメ化してその作品を参戦させるのが手っ取り早いと言うことになる。

まとめ

以上のように現在のきららは

  1. 新たなメディアの普及
  2. きらら離れ
  3. 対抗としてのソーシャルゲーム参入
  4. 話題性のある作品を欲する動き
  5. アニメ化偏重の編集方針
  6. アニメ化できない中堅の打ち切り

という流れが起こっているというのが私の仮説だが、しかしキャラ萌えという同じ土俵で対抗すると言うのであれば「投入される速度が速く・常に声があり・フルカラーで動く」ソーシャルゲームVtuberに太刀打ちができるわけが無い。萌え4コマにしか出来ないことを提示していかないと厳しい言い方をすれば淘汰されてしまうと思うのであるが…。