発送電分離閣議決定・シャープ太陽電池事業売却 3.03は日本のエネルギー史の節目となるか。

2015年3月3日は日本のエネルギー史にとって記憶されるべき日になるのではないでしょうか。

枝野氏が「ホルムズ海峡が封鎖され石油が入らなくても快適な生活が送れなくなる程度だ」とか珍答弁をした裏で発送電分離閣議決定されました。

電力ばかりが取りざたされてますが、1年遅れて東京瓦斯東邦瓦斯大阪瓦斯も発送分離がされます。

それについてはいろいろ批判や反対件も多いですし、個人的にも反対ではありますが、事実上決まったとして受け止めてどう我々が変化に対応し、悪影響があるとしたらそれをどうヘッジしていくかを考えた方が建設的ではないでしょうか。

さて、発送分離と言うことはすなわち電力会社や大手ガス会社を強制的に弱体化させるというわけですが、裏を返せばエネルギー業界の中では石油会社の力は強まるわけです。

ましてやガソリンの需要がこれから急減していくことは確定的で、石油会社は是が非でも電力・ガス事業に参入したいでしょうし、経産省としても製油所の削減を半ば強要させて不満が溜まってる石油業界への人参でもあるでしょうし、「エネルギー分野における自由化の先駆け」として「電力会社やガス会社『なんか』と違って競争に揉まれきた」という自負もあるでしょう。

事実石油連盟の広報委員長の人がこんなことを指摘しています。

石油連盟広報委員長「電力・ガス自由化は商機」 都内でシンポ :日本経済新聞

 石油連盟は2日、都内で「石油の力。」と題するシンポジウムを開いた。亀岡剛広報委員長(昭和シェル石油の石油事業最高執行責任者)は2016年から始まる電力・ガスの小売り全面自由化を念頭に「石油はすでに自由化され競争に慣れた業界だ」と指摘。そのうえで「参入することでエネルギーを総合提供できる商機になる」と語った。

 3回目となるシンポジウムでは家庭でのエネルギーミックスをテーマに亀岡氏が主婦連合会の代表者らと意見を交わした。車のガソリンだけでなく暖房器具に使う灯油や衣類などの原料となる基礎化学品など、日常生活での石油の幅広い活用事例を紹介して理解を求めた。

 

また自由化によって、電気の質、さらには過疎地への供給問題が不透明さを増す中では、ポリタンク一つで運べる石油が業界の提言どおり「最後の砦」として、灯・軽油やA重油による自家発が見直される可能性は充分にあると思います。

もっとも石油会社の非石油事業って、石油事業の下手したら原発並みのイメージの悪さからかCMでは大々的に宣伝しますが、物になってるのはJXの金属事業くらいな気もしますが。

ところでさっぱり進まない出光興産による昭和シェルの買収話ですが、こんなニュースが飛び込んできました。

シャープ、昭和シェルと交渉 太陽電池工場を売却へ - 47NEWS(よんななニュース)

経営再建中のシャープが、太陽電池を生産する堺工場(堺市)を、昭和シェル石油の子会社のソーラーフロンティア(東京)に売却する交渉を進めていることが3日、明らかになった。

 シャープは国内の太陽電池市場でシェアがトップクラスだが、採算が悪化しているため、売却に踏み切る。既に欧米での太陽電池生産から手を引いており、堺工場が売れれば、太陽電池から全面撤退することになる。

 電子部品を手掛ける広島の4工場も閉鎖を検討しており、遅れていた国内の不採算事業の再編が本格化する。

シャープという会社もつくづく不運な物で、
堺工場から世界制覇や!→政権交代で円高→あかん。液晶工場売って海外移転をせな!→アベノミクスで円安→円安やし液晶を中国のスマホメーカーに売るで!→ジャパンディスプレイとの価格競争に負ける→液晶は駄目や!→電力会社が買い取り拒否で太陽光バブル崩壊

と株式市場の世界では「国策に逆らうな」とは言いますが、ことごとく取った施策が国策に逆らう形で裏目に出ている会社です。

フラッグシップとしての自負も強いであろう太陽電池事業を売ると言うことは液晶事業もJDIに売って自身はプラズマクラスター屋になる覚悟を決めたのかも知れません。

話をソーラーパネルに戻しますが、ソーラーフロンティア太陽電池は物は良いらしいのですが、正直あんまり売れてn・・・なので、買収して営業力を強化するのは良いのではないでしょうか。

しかし、これで気になるのは出光との買収がどうなったかということです。2月には社長が交代したし、提携についてはどうも最初からお茶を濁してばかりでただのアドバルーンにしか思えません。

そもそも無借金経営ならいざ知らず多額の借金がある出光がシェルを5000億の大金を出して買収する事は全く経済合理性のない、経産省への義理立てとしか思えない行為なのです。

それだけのお金を使うなら「海賊と呼ばれた」出光佐三氏を創業者に持つ会社らしくフィリピン辺りに製油所を作って製品を日本に輸入し、ホムルス海峡と第一列島線の内側を経由するシーレーンの複線化に貢献するとか、国に義理立てをするにしても「電力会社の火力発電事業を5000億で買います」とかやったほうがよっぽど有意義だと思うのです。

と、そんなことを書いていると丁度こんなニュースが

 


LPガス 4社統合元売会社、新社名は「ジクシス」 | レスポンス

コスモ石油昭和シェル石油住友商事東燃ゼネラル石油の4社は3月3日、LPガス統合元売会社の新社名を「GYXIS(ジクシス)株式会社」とすることを発表した。

4社は、各社のLPガス元売事業の統合にむけて昨年8月5日に統合契約書を締結。その後、事業統合の受け皿会社となるコスモ石油ガスとの間で、各社は吸収分割契約を昨年12月18日にそれぞれ締結し、事業を統合する準備を進めてきた。

新社名「GYXIS(ジクシス)」は、「Gas(ガス)」と「Pyxis(ピクシス=羅針盤座)」を組み合わせ、LPガスビジネスの未来を指し示す羅針盤となる会社でありたいという思いを込めたという。

あわせて発表したコーポレートマークは、青い地球の中に緑の環境を包み込むループを配置。「地球環境に優しいLPガス事業に取り組む」企業姿勢を表している。

新会社ジクシスは、現エネサンスホールディングスの山本一徳社長が社長に就任し、4月1日に設立する予定。

・・・コスモ・昭和シェル・東燃ゼネラルの三社合併でジクシス石油株式会社。ロゴも気合い入ってますし、これで良いんじゃ無いですかね。千葉の統合は決まって四日市も統合可能ですし。懸念材料は三社の統合後の権力闘争で「軸死す」にならなければいいんですが。